ブーメラン症候群

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2019-3-8

私の友人の中でも長年、海外のビジネスに携わり、現地で70歳の半ばまで活躍、功なり名を遂げた人物が多数いる。

彼らは当然、欧米、カナダあるいは豪州などで高い社会的地位とそれに基く広い交友関係を築き、日本では望むべきではないと思われる広壮な邸宅やマンシヨンに住み、最寄りのカントリークラブのメンバーになりコミュニティにも溶け込んでいる。
いまや国際語である英語に関しても十分な経験を積みなんら問題はない。

同時に私は米国やカナダにわたり当地で成功を収めた韓国人や中国人も多く知っている。
彼らは当初から当地での永住を目指している。ゆえに彼らは子供を幼稚園へと送り出しできれば私立の中学、高校で教育を受けさせ、さらにできるだけレベルの高い大学へと入学させる。

一方、日本人は多くの場合子供は日本での入試を前提にしているため、家長としての当人はしばしば現地での単身赴任となる。
21世紀に入ったころから日本人も子供を米国で教育を受けさせるケースが増えたが、韓国人や中國人の“脱母国志向”とは全く異なり最終的には再び日本に落ち着く帰巣本能が強いように見える。

米国やカナダでの永住を目指す中国人や韓国人とこれら日本人ビジネスマンの最大の相違は、海外で活躍する日本人の多くがホワイトカラーであるのに対して、彼らの多くは起業家であることは明白であるが、すでに十分な社会的地位を確立し永住権獲得も可能である同胞が何らの未練なく帰国する背景には長い海外生活のあと改めて日本独特の文化、その可否にかかわらず“和”(ハーモニー)に基いたエトス(精神文化)、そして同種社会に共感と安穏を見出すことに起因しているかもしれない。
帰国後、卒業して半世紀以上たつ高校や大学の同窓会に喜々として参加する友人達を観察した後の私の独断的結論である。